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塩分をとり過ぎていませんか?

荒井博義( 下野市)

■生理的に必要な食塩の量は「1日に1g」
 食事は、1週間まったく摂れなくても何とかなります。けれども、水と1gの塩は、1日でも欠かすことができません。というのも、大汗をかかず、普通に生活していても、尿・糞便や汗から毎日約0.5gの塩分が排泄されるので、最低でもこの量を摂取しておかないと生命が維持できなくなるからです。
ところが、「1日に1g」という量は、全く調味料を加えなくても自然の食品自体(肉や野菜)に含まれている塩分だけで十分事足りる量であり、実際、食品を塩などでいっさい調味・加工せず、暮らしている民族もあるのだそうです。当たり前ですが、肉食オオカミや草食ヒツジでも、人間に近い雑食ゴリラにしてもお塩を振りかけたりはしていません。

■過剰に塩分を摂り続けると、どうなるか?
 一時的に必要以上の食塩を摂取した場合でも、腎臓やホルモンによる調節が正常に機能している限り、その分排泄される量が増え、余分に塩分が体に蓄積されることはありませんが、過剰に摂取し続けると、塩分を薄めるために水分が取り込まれ、血液量が増加し、これを循環させるために心拍数が増加して血流が早くなり、血圧が上昇します。また、血管壁にむくみを生じ、血管が収縮するために血管内腔が狭くなり、血圧が上昇することになります。その結果、動脈硬化が早く進行し、心筋梗塞・脳卒中・腎臓病などが起こりやすくなると考えられています。反対に、食塩摂取が1日4g以下の民族では、「年齢増加に伴い血圧が増加する」という現象が見られないのだそうです。

■適切な食塩の1日摂取量は?
 欧米では「食塩量は1日に3〜4g」が良いと云われているようです。また、WHO(世界保健機構)や日本高血圧学会は、高血圧症予防のために「食塩摂取は1日に6g以下」が望ましいとしていますが、日本人は平均で1日12g程度、中には20gを超えている人も珍しくないようです。食生活を変えることは容易いことではありませんが、それでも 5年毎に厚労省が発表する『日本人の食事摂取基準(2010年版)』では、国民の食塩摂取の目標値を、それまでの成人男性で1日10g未満から9.5g未満に、成人女性で1日8g未満から7.5g未満に改訂されました。このあたりをご参考に、味付けを味直してみてはいかがでしょうか。